時間をかけることに満足していると、評価されない人になってしまいます
2014年7月10日
「ああ、この人は仕事がデキない人なんだな……」と思ってしまうことがあります。仕事がデキないと感じる人というのは、時間をかけて仕事をすることに対して満足している人です。
では、どうして時間をかけて頑張ることがダメなのでしょうか?
生産性という言葉を知っていますか?
日本人は特に、労働時間が長いです。そして、労働時間が長いほど、「わたしは頑張っている!」という意識を持ちやすいと言えます。でも、時間をかけることはまったく大切ではありません。
大切なのは、生産性です。つまり、一定時間の中で、どれだけの成果を出せたのか、ということです。
10個の仕事を、10時間かけてやるよりも、10個の仕事を5時間でやった方が生産性は高くなります。
短い時間で仕事の成果を出せるなら、余った時間でさらに別の仕事をすることもできますし、もしくはさっさと帰って遊びに行くこともできます。
日本人は労働時間の長さでは世界でトップクラスですが、生産性は低いと言われています。これはつまり、わたしたちが残業したり休日出勤したりしながらヒイヒイ働いている一方で、外国の人は残業も休日出勤もせず、しっかり休んでプライベートも充実させている、ということです。
実際、日本のビジネスシーンにはムダとも言える慣習がいろいろありますよね。一つの物事を決定するのに、各部署の部長のサインをもらうから、決定までに時間がかかってしまい、そのあいだ社員はその仕事に着手できないとか、意味があるのかよく分からない定例会議を延々やっているとか、外国人から見ると理解に苦しむ慣習が多いようですよ。
時間をかけたことの達成感を感じないようにしよう
会社やビジネスシーンといった大規模なレベルで生産性の話をしてもわたしたち個人にはどうしようもできないので、個人レベルでの話をしましょう。
たとえば、ある店では、店長がパソコンを使えないために、手書きで売上の集計をしている。すべて電卓で計算して、紙の報告書に売り上げを書き込んでいきます。この作業には手間がかかるため、いつも2時間残業しています。
もう一つの店では、店長がパソコンを使って売上管理をしています。エクセルで作った表に入力するだけで勝手に集計してくれますし、平均売上や昨年比も一発で表示されます。この作業にはほとんど時間がかからないので、この店長は余った時間を使ってさらに売上を上げるための戦略を練ったり、スタッフとのミーティングを設けてみんなの士気を高めたりして、定時になったら帰ります。
さて、どちらが仕事が「デキる」人でしょうか?答えは明らかですよね。
ちなみに、この店長の給料が時給制の場合は、残業した店長の方が給料が高くなるというトンチンカンなことが起こります。このような仕組みも、生産性の低い人を生み出す一因になっているかもしれませんね。
ここに挙げた例は少々極端ではありますが、あなたの周りにも、効率の悪い仕事をしながら、残業ばかりして勝手に自分の仕事に満足している人はいないでしょうか?
こういう人は、「これだけがんばったわたしってすごい!」と自己評価を高くしてしまったり、もしくは「わたしはこんなに頑張っているのに……」なんて、被害妄想を抱いてしまうこともあります。いずれにせよ、「時間をかけて仕事をすることが素晴らしい」という価値観を持っているからこそ生まれる感情ではないでしょうか。
時間をかけていい仕事はほとんどない
たしかに、長い年月をかけたことによって達成された素晴らしい仕事、というのはあります。でも、たいていの場合は時間をかけて仕事をすることというのは求められていません。
もちろん、丁寧さや緻密さは大切でしょうが、いつまでも効率の悪いやり方をしていたり、他に良いやり方があるはずなのにそれを探ろうとしなかったりしていては、生産性は上がりません。
生産性が上がらないということは、つまりは会社の利益を減らすことにつながります。そして、会社の利益が少なくなれば、会社があなたにお給料を支払うための余力もなくなってしまうので、自分の首を絞めてしまうことにもなりかねません。
効率を追求することだけが大事だとは思いませんが、やはりある程度効率を重視して、無駄な時間を過ごさないように意識することは大切です。自分自身がこのような「時間をかけることに満足する人」にならないように、気を付けていきましょうね。